発達障害とは

発達障害

脳機能の発達に関係する障害で、コミュニケーションや学業、日常生活に支障をきたします。主に自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)があり、これらは境界があいまいで重複することもあります。

アスペルガー症候群

アスペルガー症候群は、広汎性発達障害の一つです。以前は、自閉症にはいくつかの種類があるとされており、「アスペルガー症候群」や「特定不能の広汎性発達障害」などに分けられていました。典型的な自閉症では、言葉の発達が遅れ、知能低下がみられますが、アスペルガー症候群では知能低下が認められず、むしろ知能が正常であるか高い場合もあります。
しかし、どちらの障害にも、人とうまくコミュニケーションをとることが難しい、興味が極端に限定されておりその結果日常生活に支障をきたす、といった共通の特性があります。そのため、最近では「自閉症スペクトラム障害(ASD)」という一つの広い概念で理解されるようになりました。各個人の発達特性をよく理解し、それに合わせたサポートをすることが大切です。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

以前は広汎性発達障害と呼ばれていました。コミュニケーション異常や特定の行動パターン、興味の限定が特徴です。遺伝的要因が関与していると考えられています。

自閉症スペクトラム障害によくみられる特徴

  • 他人との関りを持ちたがらない
    (視線を合わせようとしない、他の人が指を差した方向を見ようとしない 等)
  • 人の気持ちを理解しようとしない
  • 言葉が遅れている、話したがらない
  • 同じ遊びを飽きずにいつも繰り返している
  • 体を揺らす、手を回す等、常同行動が目立つ
  • 好き嫌いが激しい
  • 感覚が過敏、もしくは鈍感(感覚異常) など

検査について

問診、行動観察、心理検査、必要に応じて生理学的検査を行い、総合的に判断します。

治療について

根治させる治療法はなく、療育や環境調整が中心です。療育では対人関係をスムーズにするためのトレーニングを行います。環境調整では、やるべきことを整理して単純化し、視覚的にわかりやすくします。また、周囲がASDを理解し、適切な接し方を学ぶことも重要です。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

注意欠如、多動性、衝動性がみられ、社会生活に支障をきたす状態です。有病率は学童期で約5%、男女比は2:1で男子に多いです。発症原因は特定されていませんが、脳機能の異常が原因と考えられています。
ADHDの特徴として、注意力の欠如、多動性および衝動性が挙げられます。注意力の欠如では、忘れ物が多い、ケアレスミスが多いなどの症状がみられ、多動性・衝動性はじっとしていられず、席を立って歩き回るなどの症状がみられます。

検査について

症状や行動が半年以上続き、日常生活に支障をきたしている場合、ADHDと診断されます。問診、行動観察、心理検査も行われます。

治療について

薬物療法、精神療法が行われます。また、環境調整や心理療法も重要です。環境調整で集中しやすい環境を作り、ソーシャルスキルトレーニングで適切な行動を訓練します。

※当クリニックでは一部のADHD治療薬の処方は行っておりませんので、ADHDの治療や検査をご希望の場合は、受診前にご相談ください。