もの忘れとは

もの忘れ

もの忘れは、年を取ると誰にでも見られる老化現象です。人は60歳を過ぎると認知能力が低下し始めます。人の名前が思い出せなかったり、言葉がすぐに出てこなかったりする経験をしたことがある方は多いと思います。一般的にはこれらは自然な老化現象です。
しかし、注意が必要なもの忘れもあります。

  • 数分前や数時間前に起きたことを忘れている
  • 何度も同じことを言う、あるいは聞く
  • 約束していること自体を忘れ、指摘されても思い出せない
  • 慣れた道でも迷っている
  • 物事の理解や状況判断ができない
  • 時間(日付、曜日)や場所がわからない
  • しまい忘れ、置き忘れがよくみられる
  • 料理の味付けが変わっている
  • 昔からよく知る人の名前が出てこない など

もの忘れについてご心配な場合は専門医療機関でのご相談をお勧めいたします。

認知症とは

認知症は特定の病気を意味するものではなく、脳の病気や外傷などで記憶障害などの脳機能障害が継続的に起き、日常生活に支障をきたす病気の総称です。認知症の種類は多数ありますが、そのうち四大認知症(アルツハイマー病型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症)が全認知症患者様の約9割を占めます。
認知症には中核症状と周辺症状があります。中核症状は記憶障害、見当識障害、実行機能障害、言語障害、失行、失認などです。周辺症状には徘徊、妄想、抑うつ、幻覚、暴力・暴言、失禁、不眠などがあります。
認知症の治療には完治の方法は現時点ではありませんが、薬物療法や精神療法で進行を遅らせることが期待できます。

主な認知症の種類

アルツハイマー病型認知症

アルツハイマー病型認知症は、全認知症患者様の約6割を占めます。アミロイドβタンパク質が脳内に溜まり、神経細胞が脱落して脳全体が萎縮する病気です。症状は中核症状と周辺症状がだんだん強くなります。高齢になるほど発症率が高くなります。

レビー小体型認知症

脳内にレビー小体という異常なタンパク質が発生し、大脳皮質や脳幹の神経細胞が減少して症状が現れるとされます。変動する認知機能障害、パーキンソニズム、幻視、レム睡眠行動障害、薬剤過敏性などの特徴的な症状がみられます。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)がきっかけで発症します。
アルツハイマー型に次いで多い認知症です。脳内の血管が詰まり、血液が行き届かない部分の脳細胞が影響を受けます。そのため、まだら状の認知症状が見られることがあります。脳血管障害の治療法は再発を防ぐことです。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のコントロールも重要です。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉と側頭葉が萎縮して症状が現れる病気です(原因は脳内に溜まる異常なタンパク質とされています)。若年で発症しやすく、異常行動や性格の変化が目立ちます。

軽度認知機能障害

認知機能障害があるものの、認知症と診断される基準を満たしていない状態を軽度認知機能障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)と言います。認知症の一歩手前と言われますが、必ずしも認知症に進行するわけではありません。福祉サービスの導入や生活習慣病の管理などを行いつつ、認知機能の経過を追うことで、適切な時期に薬物療法につなげていきます。